稲川有徳助教(物質環境化学コース)がSpringer Thesis Awardを受賞しました

稲川有徳助教が極めて優秀と評価された若手研究者に贈られる「Springer ThesisAward」を受賞しました。

本賞は博士課程の研究において顕著な業績を挙げている大学院を世界から選出し、その大学院で極めて優秀と評価された学位取得者の博士論文を書籍の形で出版し、業績を顕彰しながら世界に広め、若手研究者のキャリアをサポートするプロジェクトです。

今回受賞した研究は「Ice Microfluidics. Ice as Size-Tunable Separation Field and Physicochemical Nature of Freeze Concentrated Solutions(氷マイクロフルイディクス. 氷を用いたサイズチューナブルな分離場の創出と凍結濃縮溶液の物理化学的性質の解明)」です。

この論文は2019年8月にSpringer Nature Publishingより書籍として出版されました。

水溶液が凍結すると,純水な氷の結晶と溶液に相分離します。この溶液部分は溶質が高濃度に濃縮されたもので,凍結濃縮溶液(FCS)と呼ばれます。氷に囲まれたナノ・マイクロサイズのFCSでは化学反応が促進されることなどが報告されていますが,FCSの物性はまだ完全に理解されていません。
一方で近年では,FCSを反応場や分離場として積極的に利用する研究も進められてきました。そこで本研究では,FCSを用いる新規分離分析法を開発し,それを用いることによって,これまで未解明であったFCSおよび氷/FCS界面の物理化学的性質を明らかにしました。氷山や海氷など環境中に存在する氷のほとんどがFCSを有するため,本研究は環境中で起こる化学反応のメカニズム解明に貢献できると考えられます。また,本研究で得られた知見はFCSを積極的に分離場や反応場として応用するためのデザインを可能にし,「氷を用いるナノテクノロジー」という新規学術領域の創出が期待されます。

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