教員詳細

Teaching staff detail
稲川 有徳

応用化学コース

稲川 有徳准教授

Inagawa Arinori

研究のテーマ

相分離により生じるマイクロ・ナノ構造を利用した新規分離計測法の開発

研究内容

ジュースを冷凍庫に入れるとシャーベット状になります。これは、凍ることで純粋な氷結晶と糖類などの溶質が濃縮された溶液が分離する(相分離)するためです。溶質の濃度が低い水溶液を凍結すると、見た目は氷でもその中にはマイクロメートルサイズの濃縮溶液が無数に存在します。
私たちの研究グループは、この濃縮溶液を利用して新しい分離のコンセプトを提唱しています。この濃縮溶液の体積は温度によって制御することができます。例えば、温度を上 げると溶液の周りの氷が解けて体積が大きくなります。温度を下げるとその逆の現象が起こります。このように温度変化により体積が変わる濃縮溶液をサイズ可変なマイクロチャネルとして用いることで、大きさの異なるマイクロ粒子や細胞を分けたり、DNAの形状を分析したりする手法を開発しました。それと同時に、濃縮溶液や氷/濃縮溶液界面の物性の計測を行ったりしています。
これにより、氷床や雪の中での化学物質の動態を解明でき、環境中での化学物質 の循環過程を解明することにつながると考えます。

稲川 有徳-図1